
製品と向き合うデザイン時間

プロの現場で使われる道具は、見た目だけでは成立しません。
「性能」と「信頼」を、どう視覚で伝えるか。
今回のプロジェクトは、その本質と向き合う制作でした。
デザインの起点は「現場で選ばれるか」
今回担当したのは、
・本体カラー設計
・ロゴ配置/ステッカー設計
・バッテリーデザイン
・パッケージ
・チラシ
・取扱説明書
いわば、商品に関わるすべてのビジュアル設計です。
単体のデザインではなく、
“ブランドとしてどう見えるか”を軸に構築しています。
色で性能を語る

最初に取り組んだのは、本体カラー。
グリーンを基調とした配色にたどり着くまで、
複数パターンを検証し、提出と修正を繰り返しました。
ただ目立つ色ではなく、
・工具としての力強さ
・現場での視認性
・他製品との差別化
これらを同時に満たす必要があります。
最終的に選定したカラーは、
“プロツールらしさ”と“ブランド認知”の両立を狙ったものです。
ロゴは「置き場所」で価値が変わる
ロゴはただ入れるだけでは意味がありません。
どの角度から見ても認識できるか。
作業中でもブランドが伝わるか。
そのため、
・正面
・側面
・バッテリー部
それぞれに対して、見え方を設計しています。
「自然に目に入る位置」に置くことで、
無意識にブランドを刷り込む設計です。
バッテリーまで一体でデザインする
見落とされがちですが、
バッテリーも製品の一部です。
今回は、
・本体との色バランス
・装着時の一体感
・単体で見たときの完成度
ここまで踏み込んで設計しています。
さらに裏面の表記にも統一感を持たせ、
細部までブランドとして成立させています。
パッケージは「置かれ方」まで設計する

あらゆる場所での置かれ方を検証しました。
・横に置かれる
・積まれる
・遠くから見られる
そのすべての状況で、
「あの製品だ」と分かる必要があります。
そのため、
・大胆なロゴ配置
・特徴的なカラー分割
・視認性の高い構成
を取り入れ、どの角度でも認識できる設計にしています。
パンフレットは「一瞬で理解させる設計」


パンフレットは、単なる説明資料ではありません。
現場の担当者が手に取り、
短時間で“使えるかどうか”を判断するためのツールです。
そのため、
・スペックの優先順位設計
・視線の流れを意識したレイアウト
・重要情報の強弱付け
を徹底しています。
「読む」ではなく、
“瞬時に理解できる”構成を目指しました。
取扱説明書は「使われる前提で設計する」

取扱説明書では、
安全性と可読性を最優先に設計しています。
取扱説明書は、最後に読まれるものではなく、
現場で頼られる存在であるべきです。
本案件では、
・警告/注意の明確な区分
・操作の直感的理解
・スペック情報の整理
といった、安全性と実用性を両立する設計を行っています。
ただ情報を並べるのではなく、
「迷わず使えること」をゴールに設計しています。
まとめ
今回のプロジェクトは、
単に一つの工具をデザインする仕事ではありませんでした。
最初に渡されたのは、まだ“製品になりきっていない状態”のもの。
そこから、どうすれば現場で選ばれるのか、
どうすれば手に取った人に「これは使える」と感じてもらえるのかを、
一つひとつ積み上げていく作業でした。
色が決まるまでに何度もやり直し、
ロゴの位置を数ミリ単位で調整し、
バッテリーとの一体感を崩さないよう細部を詰める。
さらに、
パッケージでは「どんな置かれ方をしても伝わるか」を考え、
パンフレットでは「短時間で理解できる構成」を追求し、
取扱説明書では「現場で迷わない設計」に落とし込む。
どれか一つでも欠ければ、
“いい製品”で終わってしまう。
しかし、それらがすべて繋がったとき、
初めて“選ばれる製品”になります。
目に見える部分だけでなく、見えないところまで整えていく。
その積み重ねが、製品に説得力を与え、ブランドとしての強さを生みます。
完成したときには、最初とはまったく別物と言えるほどの仕上がりになっていました。
製品を「作る」のではなく、
市場に「送り出す」ための設計。
今回の仕事は、まさにその本質と向き合うプロジェクトでした。

